さしみ海域

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短編小説 ~死刑~

1978年 テキサス

 

州の田舎町、エルバーズでは一人の男による殺戮が繰り広げられていた。

男の名はウィリアム・パーレイ。8人の老人をロープで絞め殺し、バラバラにして町の近くの山に埋めていた。

しかしある時山で被害者の遺品が発見され、州警察による捜査の結果、8人全員分の遺骨が見つかった。

その後、住民による通報からウィリアムが犯人として浮上し、ウィリアムは逮捕された。

裁判では死刑が可決され、ウィリアムは執行の時を待っていた…

 

8月 死刑当日

 

手錠をかけられ、ウィリアムは待機房へと入れられた。

「執行まで、あと2時間ですね。」

電気椅子の用意をしながら、刑務官が話す。

「これであの頭のイカれた野郎も、お陀仏だ」

もう一人の刑務官は、淡々とした声で返答する。

「牧師はもう来ているか」

「はい、既に到着しています。」

静かな部屋で、溜息混じりに作業が続いていた。

 

2時間後

 

処刑室へ、手錠をかけられたウィリアムが入ってきた。

室内には五人の刑務官と、牧師が立っていた。

刑務官はウィリアムを電気椅子へ固定する。

ウィリアムは、冷や汗をかいていた。

 

牧師が祈りの言葉を終えると、ウィリアムへ言った。

「あなたが死ぬ前に、最期に言い残すことは何かありますか。」

ウィリアムは答えた

 

「私は手の震えが止まりません。最期のお願いです、牧師様。どうか、私の手を握っていてください。」

 

ウィリアムは牧師の手を強く握って、最期まで離さなかった。

 

 

 

 

 

あとがき

短編小説、その2です。

実際アメリカでは1982年まで電気椅子が死刑に使われていたそうですね。

強い電気って、人間の汗も伝達すると聞いたことがあります。

 

それでは、また次の機会に。読んでいただき、ありがとうございました

 

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